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2015.08.10 (Mon)

【全力!ラノベレビュー】サイハテの救世主 Ⅱ【其の伍】

「君はぼくと同じではない。君は“寂しい”という感情を持ち合わせている」
「ドクにはないの? 自分には、その感情が“欠けて”いるとは思わないの?」
「……ぼくがそう思う時が来たら……きっと、それを堕落というのだろう」
「ドクがそう感じるようになった時こそ、わたしたち一緒になれるのね!
 素敵!!  その日が待ち遠しいわ、ドク!」

siht2.jpg

「今の完璧なあなたも素敵だけど……堕落したあなたも、きっと素敵だわ」

【注意事項】 
(1)ネタバレありです。同作者の他作品にも言及する場合があります。
(2)登場人物データは琳珂の主観で分類・掲載します。
(3)評価は琳珂の独断と偏見と読書歴に基づいて、思うがままに書きます。
 コメントを下さった場合は一応反応しますが、議論をするつもりはございません。
 予めご了承ください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
うわぁぁ、ドクの描き方がわかんない!!
第一巻のレビューでのイラストと比べたら別人ですねorz
くー。一体どうすればいいんだろうか。修業せねば。
頬に絆創膏貼っとけばよかった大助が懐かしいよおお><


では追記から【サイハテの救世主 Ⅱ:黄金火山と幸福の少女】のレビューを始めます。

【More・・・】


書籍データ   ―目指すのは、いまだかつてない面白さ!

 【著】岩井恭平    【イラスト】Bou
 【出版社】角川書店  【初版発行日】2013年2月1日  【ページ数】383p

登場人物
 【主役】沙藤葉(ドク)、アンジェリン、濱門陸、又吉三三子
 【準主役】エリク・グッドオール・ジュニア、ノーラ・ダーリン
 【脇役】ナヴァルティ・ストラ、バウスフィールド照瑠、佳織、夏生、海姉 他

評価   総合:★★☆☆☆ ……憐れで、憐れで、哀れで、哀れ。 

 【ストーリー】★★☆☆☆  【戦闘描写】★★★★☆  【人物描写】★★★☆☆
 【泣ける度】 ★★★★☆  【和む度】 ★☆☆☆☆  【恋してる度】★★★★☆
 【イラスト】 ★★☆☆☆

レビュー

今作を読むことはとても苦痛でした。
特に前半は1ページ進むのにも四苦八苦していました。
やはりこのシリーズは私好みではない、ということがはっきりしました。
それでも“アンジー”登場以降はそれなりに面白さが出てきて、なんとか読み切ることができました。
あくまで私好みでないだけで、こういう作風もアリなのでしょう。
世間には同系統の作品が沢山あるでしょうし、中にはヒットしたものもあるでしょう。

だからこそ、「今作は売り方を間違っている」と思います。

まずキャッチコピーがおかしい。
この内容のどこが「目指すのは、いまだかつてない面白さ!」なのでしょうか。
もっと今作にふさわしいあおり文はいくらでもあるはずです。
例えば「目指すのは、いまだかつてない陰鬱さ!」とか。
「全てを失った元・天才の、生き地獄は終わらない……」とか。
それから表紙の雰囲気も変。
いや根本的な問題として、絵師さんの選択がおかしいです。
こんな可愛らしいイラストを可愛く描くことしかできない人を使うべきじゃない。
もっとリアル系で、どんなに凄惨で酷くて生々しいシーンでも美しく魅せてくれる実力のある絵師さん、たとえば『されど罪人は竜と踊る』の人や『トリニティ・ブラッド』の人、もう少し今どきの絵柄によせるとしてもせめて山本ヤマトさんのような系統を起用するべきでした。
え? 「可愛い絵で残酷な内容だからこそギャップ萌だ」って?
そんなのは数年に一回、狙いすまして奇をてらった絶妙な作品が出てくるから良いのであって、普遍的に売れるパターンではありません。
安易に流行に乗ることは粗悪品を乱造するだけです。

この作品の現状は、デパ地下で「岩井先生が作ったシュークリームいかがですか」と勧められて買って帰って箱を開けてみたら中身が奈良漬だったようなものです。
おかしいでしょう?
そりゃ、シュークリームも奈良漬も、両方好きな人はいるでしょう。
でもシュークリーム食べたい時に奈良漬出てきたら、がっかりします。
最初から「岩井先生が作った奈良漬いかがですか」と言ってほしかった。
そうしたら、普段から漬物好きな人が「お? 新作漬物か? 食べてみようかな」と買ってくれる可能性が高まり、上手く行けば新しいファン層の獲得につながったでしょう。
元々のファンも「あの岩井先生が奈良漬?!」と驚きつつ、「お、俺、今回はパスするわ」と判断したり「一体どんなことになっているんだ。食べてみるか……」と怖いもの見たさで手を出したりできたでしょう。
それなら、それでよかったのに。

とはいえ。
そもそも、岩井先生に奈良漬を作って欲しくはなかったです。
確かに私はかつて「先生が書いた色んな作風の本を読みたい」とは言いました。
でもそれは「名パティシエの岩井先生が、シュークリームばかり作ってたらもったいない。ショートケーキやガトーショコラ、プリン、マカロンなど様々なスイーツを作って欲しい」という意味でした。
新たな技術を身につけるために、和菓子やアフリカのお菓子に挑戦して下さっても面白いだろうなぁとは思いました。
……私の希望していた範囲はそこまでです。
奈良漬なんて望んでないよ!!

こんな気持ちになっているのは、おそらく私だけではないはずです。
『消閑の挑戦者』や『ムシウタ』を通じて岩井先生のファンになった人は、それらの作品に込められたポジティブなメッセージに惚れたはずです。
登場人物やストーリーに憧れ、共感し、癒されていたはずです。
「切なくも温かい、希望に満ちた情感豊かな物語」こそが先生の作品の魅力でした。
今作のようなひたすら哀れで苦痛で絶望に満ちた物語を望んだ既存ファンが、一体何人いたでしょうか?

ファンの裾野を広げることは重要です。
しかし、今作を読んで「岩井恭平はなかなか渋いな。他の作品も読んでみるか」と思った人がいるとします。
その方々が『消閑』や『ムシウタ』を読んで感動するでしょうか??
「この作家って最高だな!」と根強いファンになってくださるでしょうか??
可能性はかなり低いと思います。

『消閑』などが好きな人は、少し捻くれてても感受性豊かで優しい人ばかりです。
きっと『サイハテ』が好きな人は、悪趣味で心がパサパサな人でしょう。

上記はあくまで私の独断と偏見に満ちた感想ですが、どうしてこんな、読む層が違いすぎる作風にしたのでしょう。どうしてこんな狙い方をしたのでしょう。
無礼を承知で言います。スニーカー文庫編集部、いや角川書店はアホなのか?!

本当に、どうして今作が書かれてしまったのか、どうしてこのような形で売り出されてしまったのか、疑問が尽きません。
……尽きませんが、いい加減にして本編のレビューへ移ります^^;


さて。
ストーリーは、ドクが沖縄と北海の海底を往復して世界を救うというものです。
前半は、海外で各国の主要人と関わるドクのシーンと、沖縄で変人として扱われつつ日常を送るドクのシーンが目まぐるしく入れ変わり、情緒もへったくれもありません。
一番ひどいところなんか、たった5行で北海の海上(死にかける程の危機)を脱出して沖縄へ帰還し、海姉のナイスバディにメロメロになっています。(p.93)
テンポがいいなんてレベルじゃありません。ぽかーんとします。笑
まぁ読み進めるうちに慣れてきて「あー沖縄パート進んできたね。そろそろ米軍がドクを拘束しに来るんでしょ? はい、来たー」と予想できるようになり、別の意味で楽しくなってきますね・w・
私はこの当てっこをすることで前半を乗り切りました。
後半はゾンビ映画・パニック映画のような展開になり、物語として面白くなってきます。
そういえば(私にとって)ムシウタ史上最悪と名高い12巻も似たような雰囲気でしたね。2012~2013年にかけて、岩井先生はゾンビ映画にハマっていたのかなぁ(
まぁそれはおいとくとして、とにかく前半があまりにも辛いです。
登場人物みんな酷過ぎて、外国と沖縄を行き来するドクが、どちらでも悲惨な扱いを受けていて胸が痛いです。……そこは後半も変わりませんけどね。笑
よってストーリーは★2です。

戦闘描写は頑張っていますね。1巻よりは格段に面白いです。
“ボトムズ・アンカー”というミサイルや潜水艦でのやりとりは非常に緊迫感があり、空母『ロイヤルパレス』などを舞台にした戦闘は今までにないスケールで良かったです。
ゾンビものとしての恐怖も見事に表されていました。……こういう暗鬱とした作品でやるならいいんですよね、ゾンビ展開。ムシウタの世界観には全く合わなかったけど。
肉弾戦では新キャラのエリクが良い味を出しています。
ああ、彼がもう少し良い奴であれば、前半の酷さも改善されるのに……。

ここから人物の感想へ移ります。
物語後半ではエリクの人柄や信念、彼なりのドクへの優しさや友情が垣間見えるようになり、最終的に良さとクズ度が「2:8」くらいのキャラに落ち着きますが、前半はクズ度100%でしかありません。
ああ、どうして今作の登場人物は全員ドクに暴力をふるうのでしょう?
エリクもノーラも陸もみんな。
どうして誰も、ドクの言葉に全く耳を貸さないのでしょう?
一人くらい彼の人権を尊重し、対等に接する友人がいてもいいはずです。
エリクはまさに適役でした。
「ハイスクール時代の同級生」というお誂え向きの設定まであったのに><
ドクを取り巻く環境があまりにも酷すぎて、私にはアンジェリンが天使に見えましたよ。

そうです。エリクはまだ許せるんです。諦められるんです。
シリーズヒロインである陸がしっかりしていれば。
主人公にとって世界中の全てが敵でも、たった一人理解者がいてくれれば、その隣で安息を得られるという希望が見えます。
いわゆる大助にとっての詩歌です。
第一巻、そして00での二人を知っているからこそ、読者はその後のあらゆる展開に耐えられたのです。「かんばれ、大助。今は酷い状況だけど、これを乗り切れば詩歌と幸せになれるはずだよ!」と応援できたのです。
……ああ。
陸は全くダメです。
第一巻の時点では「天才? 英雄? ドクは妄想癖がある嘘つきさー」と言ってました。
今作では「へー。もしかしたらそうなのかもねー?」と、マシにはなってます。
しかし全然まったく足りないよ!!!
お前、ヒロインの役割ってものをこれっぽっちも理解してないだろっ。
ドクを取り巻く環境は最悪なんだぞ。
ノーラやエリクのように、すぐ殴ったり蹴ったり言葉の暴力を振るったりして自分の意のままにドクを働かせようとするやつらか、ドクの事情などお構いなしに「私を救ってください」と縋りついてくる迷惑な信者しかいないんだぞ。
世界のドクに対する理解度はゼロなんだよ。
ヒロインたるお前だけでも、300%くらい彼を理解して支えてやれよ!!!

……はあはあ。ごめんなさい。取り乱しました。
いやでもほんともう、ここまでくると、陸が登場する度に殺意すら覚えますよね。
「黙っていなくなるな」とか、ヒロインぽいこと言ってますけどね。
それもドクを心配するあまりというより「自分の言いたいことを言っただけ」、「私の」隣人が「私に」断りなくいなくなるのはイヤ、っていう風に見えました。
あくまで彼女は沖縄人として・隣人として良い人だから言ったのであって、ドク個人を愛して言ってるようには見えませんでした。
……まぁ実際、陸含めて沖縄の人の誰もドクのこと真剣に見てないよねwwwwwwww
中学生レベルの問題も解けないとか失礼な誤解してるレベルだよねwwwwwwwwww

今作では、沖縄は“救いの場所”であるはずです。
ドクにとって帰るべき安息の地として描かれているはずです。
だからこそ彼が命がけの戦場と沖縄を行き来するところを何度も描き、辛いときに“沖縄”というキーワードで理性を保つ描写があるのでしょう。
しかし、その“帰るべき場所”のクオリティが低すぎる。
そりゃあノーラ達とともにあるよりは百倍マシでしょう。
隣人としてでも、それなりに周りから愛されてるんだから。
でも、沖縄にもドクを理解しようとする者は一人もいないし、きっかけさえあれば皆が彼に暴力をふるいます。
先生はあれがギャグや萌要素だと思っているのかな?
可愛いけど腕っ節の強い女の子が事あるごとに主人公(男の子)を殴る、その行為が面白いのは、二人の間にしっかりした信頼関係がある場合や、舞台設定が平和な学園などで暴力描写がほとんどない場合です。
だからこそ「かわいいじゃれあい」として成立するのです。
照瑠や佳織や陸とドクの間にそんな信頼関係があるようには見えません。
外では軍人や秘書に全力でボコされ、沖縄では大して仲良くない隣人たちからふざけ半分にイジメられるドク。
憐れすぎます。。
ドクにとっての帰るべき場所は、綺麗な海と美人で巨乳なお姉ちゃんがいるだけでいいのでしょうか。
なんて浅はかで低俗な救いなのでしょう……。

陸は、もっとおおらかで「全てを受け入れる」キャラクターであるべきでした。
ちょっと天然でアホの子でもいい。
ドクが語る言葉を全て信じ、「ドクって凄いんだね。大変なんだね」と心から共感して涙を流してくれる子であれば、どれだけよかったか。
周りの隣人たちが「あー、また陸が全部信じちゃってる。こんなやつが天才で英雄だなんてありえないよ」「そうそう、妄想で嘘だよ」とツッコんでくれれば、十分に場は締まったはずです。
それでも「うーん。ドクは嘘を吐くような人じゃないと思う」と言ってくれる良い子であってほしかった。
「あなたのことをちゃんと知りたいの。陸にも分かるように話して」と、コミュ障な彼とも真剣に向き合う努力をしてあげる子であってほしかった。
彼を天才として認めて尊敬しつつも「そんなに頑張らなくていいんだよ」と優しく抱きしめて頭を撫でて、彼が求めるものを満たしてあげられる子であってほしかった。
それならば、きっと私は納得できました。
あのクライマックスでドクが陸の顔を思い浮かべたことに。
彼がアンジェリンではなく、陸を選んだことに。

私はクライマックスを読んで「アホかドク!」と思いました。
「あの陸の顔なんて思い浮かべてどうすんの!
 あの子はあんたのことを何も理解してないし、きっとこれからもそうだよ。
 大体あんたそんなに感動するくらい彼女に優しくしてもらった?
 彼女と絆を深めてたっけ??
 いや私にはそう見えなかったよ!
 悪いことは言わない! アンジェリンのところへ行け!!
 その方が絶対にドクは幸せになれるよ!!!」
物語的にありえないとは思いつつ、全力でそう叫んでいました。
ここまで主人公とヒロインの関係に感情移入できないってどうなんでしょうね。笑

アンジェリンは本当に可憐で素敵でした。
だからこそクライマックスは泣けました。
まぁ展開はこれでいいですよ。仕方ない。どうせゲストヒロインだし。
でも、ドク(岩井先生)に文句を言わずにはおれません。
どうしてドクと三三子のことを誤解したアンジェリンを「愛がない」「ただのファンだ」と決めつけたのでしょう?
愛があれば不倫も許してくれるはずだと??
そんなバカな!
愛すればこそ、「彼が自分以外の女性を愛したかもしれない」という場面を目撃することは絶望に値します。
百年の恋が冷めて彼を殺したくなっても仕方がありません。
あれは、ドクの気持ちを楽にするためですよね。
陸を選んだ彼が「アンジェリンはぼくのファンの一人だった。世界を脅かす存在の一人だった。だからあんな別れ方をしても、殺してしまっても仕方なかったんだ」と自分の気持ちに整理をつけるために捻りだしたこじつけですよね?
なんて、卑怯な。
ドクはそれで満足したかもしれませんが、私はしませんよ。
今作のヒロインはアンジェリンでした。少なくとも陸の300倍は魅力的です。
私は彼女が大好きでした。
「アンジェリンはぼくを心配しただろうか」というドクの台詞にも異議があります。
「アンジェリンはぼくを呼ばなかった」とも言ってましたよね。。。
お前は子どもかっ! 呼ばないよ普通!!
アンジェリンは理解していたのです。
天才のドクは、一つのプロジェクトを終えた今、もう自分に興味がないと。
そんな彼を呼びつけるような子じゃなかったのです。
アンジェリンは待っていたのです。
ドクが約束を叶えてくれる日を。
いつかドクが堕落して、馬鹿になったとき、自分のことを思い出して会いに来てくれるだろうと期待して、待っていたのです。
なんて、健気な。
それなのにドクが天才とも馬鹿ともつかぬ状況で、しかも自発的にではなく誰かに連れてこられたから、彼女は怒って試したのですよ。
だから確かにあの潜水艦には殺意……いや小さな恨みがこもっていたはずです。
「あなたはまだ私を愛してくれないの?」という。
アンジェリンは規格外の女子だから、ちょっと拗ねて起こした行動が規格外だったというだけなのです。
あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
どう考えても、ドク×陸よりドク×アンジェリンのほうが良い。
新国の王様になったか二人で手を取り合って世界の破滅を見たかは分かりませんが。
ドクは、本当に憐れです。

人物描写で納得できない点があと一つあります。
無駄過ぎるエロ描写。
なんなんですかねこれは。
たまにはいいですよ。一冊のなかに一か所くらいそういう場面を入れて、少年少女を「きゃー」とか「にやっ」とさせるのは、ラノベとしてむしろ健全でしょう。
しかしこのシリーズは度を越えています。
大体、岩井先生が明確な濡れ場を書くことはないでしょう。
それは長年彼の作品を読み続けてきたファンとしての信頼であり期待でもあります。
勝手ながら「岩井先生はそういう方ではない」と思っているからこそ、私は長年堂々とファンを名乗っていられるのです。
私は極端なエログロが大キライですから(その他の要素が優れている作品なら、目を瞑って読みますがね)。
そう、だから例えば十文字先生の新シリーズなら「今作も凄惨な殺人場面や酷いレイプとかあるんだろうな」と思いますが、岩井先生の新シリーズに対してそれはないのです。
だから作中にそういう描写が出てきたら、一瞬でミスリードかファンサービスだと判断できるのです。
それがこう何回もあると寒くて痒くてイタいのです。
「は、早く次の展開来てくれないかな……」と読み飛ばすよりほかありません。
どうしてこんなことになってるんだろうか。編集部か? 編集部が悪いのか?!(

一般的に、こういうエロ描写を増やす=男性読者を増やすことが目的だと思われますが、岩井先生に限って言えば、そんな努力は無用の長物です。
何故なら『消閑』『ムシウタ』を通じて先生についているファンは7割以上男性だからです(琳珂調べ)。
10年間、岩井先生のファンをやっているこの私が断言しますよ。
これまでうちのHPに来て下さった方や、同人誌作りなどで関わった方など、「岩井先生が好きだ」と仰っていた人々の7割は男性です。
絵茶会を開いても、オフ会をしても、女性は常に少数派でした。
それは当時のラノベ自体の男性読者の比率が高かったからかもしれません。
しかし、岩井先生が既に十分な量の男性ファンを獲得しているのは間違いないです。
先生が寒くて痒くてイタすぎるエロ描写をいくら盛り込んだとして、既ファンが離れることがあっても、新たなファンがつくことはないでしょう。
だから早くやめてください。笑
間違っても「じゃあ描写を上手くしよう」なんて方向には走らないでくださいね。
そんな陳腐で巷にありふれた安易な方向性にいない先生が、私は大好きなのですから。
(でも作品の幅を広げるために、たとえば真の愛を表現するためにそんなシーンが必要になったならば、思い切り書いて下さいね)

あー、そういえば三三子についても言いたいことありました。
名前のミスリードはありがちな手法だったからいいとして、部屋からやっと出てきたときは「お?」と思ったんです。
「あまりにも陸がダメだからヒロインを交代するのかな? 英断ですね」とさえ。笑
いやーしかし、彼女もとても哀れでした。
ふつー、こんな陰惨な物語の途中で、あれだけ時間をかけた上でこういう子を投入するってことは、危機を通じて成長した彼女が引きこもりをやめて明るく暮らせるようになる姿=今作唯一の希望として描くでしょう。
本当に今作はどこまでも徹底的に悪趣味です。
エピローグでの三三子も酷いですね。
あんなことされた子が、あんな態度であんなこと言うでしょうか?
「萌」を狙ってるのかもしれませんが、単純にキモチ悪くてゾッとしました。

えー、もうかなり書きつくした感がありますね。
上記の通りアンジェリンが可愛いので、恋してる度はそこそこ。
アンジェリンが可憐で、登場人物みんな(特にドクと三三子)が悲惨で憐れなので、泣ける度もそこそこ。
和めるところは一つもありません。全編通して地獄です。

イラストは相変わらずですね。もはや絵柄には文句いいません。
アンジェリンの瞳が赤なのも無視しましょう。本編で緑って書いてあるけど。
カラー以外の挿絵はページによってペン入れと仕上げの手法が違って「本当に全部同じ人が描いてるの? 描いてるなら何でこんなに安定しないの?」と思いますけど。
まあいいです。
それでも無視できないのは、カラーページと挿絵にする場面のおかしさです。
今作の登場人物はみんな哀れで魅力がありません(許せるのはアンジェリンだけ)。
よって「キャラ萌」狙いのようなイラストばかりであることの違和感が際立ちます。
こういうのはキャラの魅力で物語を引っ張っているような、それこそ『涼宮ハルヒの憂鬱』のような作品でやるからいいのであって、今作の作風でやっても無意味です。
どうしてちゃんと、物語を絵にしようとしないのか。
カラーの見開きに相応しいシーンはいくらでもありました。
たとえば遭難中のドクとエリク。
青い空に白い雲、どこまでも続く水平線に浮かぶ壊れた『マンタ』。
その上に寝そべって語り合う二人の青年の絵は、麗しい友情を感じさせ、一服の清涼剤となったでしょう(まぁエリクのキャラがアレなんで、本編読んだら台無しですけどね)。
もしくはクライマックスのバトルシーン。
神秘的な海底の森をしっかり書き込み、泣きながら争うドク・三三子・アンジェリンを配置すれば、読了前の人はクライマックスへの期待を膨らませるでしょうし、読了後の人はそれを見て再び感涙したでしょう。
カラー以外の挿絵も、重要な場面をより引き立たせるために使ってください。登場する女の子がみんなカワイくてナイスバディだってことばかり強調しなくていいです。
そんなのどうでもいいんですよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
みんな中身も扱いも悲惨ですしwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
見た目がよければいいんですか?
女性のこういうポーズの絵を並べておいたら男性の方々は喜ぶんですか??
へー、私は世の全ての男性に絶望しそうですwwwwwwwwwwwwwwwww
……ごめんなさい。
比較的良かった挿絵は、ドクの後ろ姿と森の中のアンジェリンですかね。


ははは。
わかってました。わかっていたんです、こうなることは。
サイハテの1巻の時も、めちゃくちゃ言いたくなるのを抑えて、自分の空想を書きまくることで気を落ち着けたんです。
今回は我慢できなかった………。
★2にしたのはせめてもの償いと言うか、やっぱりこれでも岩井先生の作品に★1はつけたくないという思いからです。
ああ、でも、今作を★2にするなら、1巻は★1にすべきだなぁ……。
まだこっちの方が面白いもん。
ということは、3巻は更によくなるのかな?
楽しみだなぁ(しろいめ

もしも編集部や出版社は何も悪くなくて、「今作は岩井先生が心から書きたかったものを書きたいように書いただけだ」ということなら……岩井先生が心配です。
先生は一体どれほど追いつめられておられるのか。
どれほど荒んでしまわれたのか。
原因は何なのでしょう。
……ハッ。
今作において、最もドクを苦しめているのは彼のファンです。
ということはつまり、岩井先生を苦しめているのも先生のファンなのでしょうか。
岩井先生とムシウタが好きで好きで好き過ぎるこの私、風琳珂にも責任の一端があるということか……!
くうう。その通りでしたら誠に申し訳ございません!
盲目的なファンは時に崇拝対象を苦しめることがある……それは私自身も重々承知のことだというのに!!
そうでした。あきらかに黒歴史だったあのアニメでさえ、リアルタイムで視聴中は「いやでもこれを楽しんでるファンの方もいるかもしれないし、何より岩井先生に悪いし」と率直な感想を言えずにいた私は確かにダメなやつでした。
今後は心を入れ替えて、素晴らしいときは素晴らしい、好みじゃないときは好みじゃない、と正確な感想を口にしていくことにします!!!(これでいいのかな


たとえ大キライな奈良漬でも、岩井先生の作品ですからね。
完結まで必死にくらいついていくつもりです。
ただ、できれば……。
一刻も早くドクがシアワセに安寧の境地でお亡くなりになって、シリーズが終わってくれることを祈ります>人<

今回も長くなってしまいましたね。
以上で、【サイハテの救世主 Ⅱ:黄金火山と幸福の少女】のレビューを終わります。
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