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2012.09.25 (Tue)

12週間連続企画!ムシウタレビュー 【10.夢偽る聖者】

ウソなんかでも、世界を変えられるかどうか見たかった…

それができるウソを思いついちゃったらさ…

rbs10.jpg

どうしても、やりたくなっちゃうじゃん……。



ムシウタレビューシリーズの最初の記事(01のレビュー)と最新記事に載っている【注意事項】に目を通してから、お読みください。


今週も元気にいきましょう!
追記にて、【10.夢偽る聖者】のレビューを開始します。

【More・・・】

 
書籍データ   ―それは、最高で最悪の…?

 【初版発行日】2010年5月1日 【ページ数】413p
 【主役】喜多沢環(“ミミック”)、南金山叶音、杏本詩歌(スノウ・フライ)
 【準主役】二ィ(“あかおに”)
 【脇役】“なみえ”、城谷怜治(アイジスパ)、チェーファー、ハレンシス、ルシフェラ、丁屋弐兵衛
      ピードウッド
、赤瀬川七那、秘書(三ヶ島万)、塩原鯱人、菰之村茶深、
      “コノハ”、薬屋大助(“かっこう”)、榊遥香、ハルキヨ

評価   【総合】★★☆☆☆
  ストーリー:★★★☆☆ 戦闘描写:★★☆☆☆  人物描写:★★★☆☆
  泣ける度 :★★★☆☆ 和む度 :★★★☆☆  恋してる度:★☆☆☆☆
  ヒロイン :★★☆☆☆ 表紙  :★★★☆☆


レビュー

3年。
それは、09発行から10発行までにかかった時間です。
私たちは3年間待ちました。
その間には―ムシウタアニメが放映されたり、bugが完結したり、
色々な事がありました。
3年。
あまりにも長かった待ち時間の果てに私たちを待っていたのは―
どうしようもないウソつきたちの物語でした。


いつも通り、まずは時系列の確認です!
 1.00 最初の満月。蝉の死骸が転がっており、環「そろそろ本格的な夏が来る」と述懐。
 1.03 数週間後。信徒が数十人に膨れ上がる。
 2.01 二度目の満月。環、霞王に扮して中央本部に潜入。
 3.02 「彼が二ィと呼ばれるようになってから、二ヶ月近くが経過していた」との述懐。
 3.04 三度目の満月。イチを欠落者にしてしのぐ。
 4.00 翌日、二ィとカノン脱走。環、カノンになり変わる。
 4.02 数日経過。二ィとカノン再会。さらに一週間後、聖者の行進開始。
 4.06 四度目の満月→エンド
物語の中で三ヶ月が経過しています。シリーズの中で最長ですね。
満月のおかげで時の流れが分かりやすく、レビューを書く者としてはありがたりです。
正確な時期を考える鍵となるのは3.01です。
ここで“むしばね”は既にαを保有しているだけでなく、αに新しい生命維持装置を繋いだり、見張り番を配備したりと、手に入れてから少し時間が経っている様子が見て取れます。前回は名もなきダメンズだったチェーファーも、まともに活躍していますね。
αを手に入れたのは8月あたま頃でした。数週間~一ヶ月は経過しているとすれば、3.01は8月下旬~9月初旬頃と推測できます。
3.02の二ィの述懐から、3.01の時点で物語冒頭から二ヶ月近く経っているはず。
ここから逆算すると、物語冒頭は「6月下旬~7月初旬」。間をとって「7月あたま頃」としておきましょう。
これならば環の述懐とも合致します。09の物語開始時期と同じですね。
以上から10は、「7月あたま頃~10月あたま頃」の物語といえます。

見どころは…“虫”のインフレ、ここに極まれり。ってとこですかね。
どーしよーもない悪女・環が持っている力も―
二ィの仲間の形見も―
どーしよーもないダメンズ・カノンが手に入れる力も、恐ろしいほどチートです。
まずは環。
三人まで変身できるって何事。どんな虫のどんな能力?
分離型、そのなかの装備型の一種なんだろうけども、謎に凄いです。
榊遥香の能力が完全劣化になっちゃったのは残念ですね。
次に二ィの仲間の形見。他の“虫”の力を増幅できるとは…ありそうでなかった新能力ですね。
こちらは形態が謎です。
月桂冠をモチーフにしているのは、カノン様に似合うからだろうと思います。
しかし分離型の“虫”が、しかも複数同時操作型でもないのに、周辺の複数の人間および空間?に影響を及ぼせるというのは謎です。
照の「○○遮断!」は…まぁ、媒介がはっきりしてるので分かるんですが。
うーむむ。
宿主を失った“虫”なら何やってもいいのか、って話になっちゃいます。
特殊型で「自分の領域内にいる“虫憑き”の能力を統合し、使用する能力」とかにした方が無理がなかったんじゃないでしょうか?
それで、使用者および統合されてる人達は仄かに光る、なんてどうでしょう。
みんなわーっと輝きながら襲ってくるとか、カッコいいじゃないですか。
特殊型は実体がないはずだけど、宿主を失ってから、生き延びるために近くにあった月桂冠にとり憑いて実体を得て、二ィに寄生し始めた、みたいな感じなら納得しやすかったと思います。
最後はカノン。
10という物語は、彼という虫憑きを生み出すためだけにあったともいえます。
能力はチートで意味不明です。虫消せるってどういうこと!?その人は一般人に戻るの??
モチーフは知恵の樹っぽくて、虫っぽさ皆無(墓守とかもそうですが…)。
しかしこれだけの物語があれば、彼が「本当に虫を消せればいいのに」と夢みたとしても納得。
そんな夢を、グルメな大喰いが見逃さないのも当然。
最後の最後の流れは泣きながら読んでしまいました。
物語冒頭から提示されてきた「下手なウソだけど皆を幸せにして、最後には本当にしてしまう。傷つくのは自分だけ」というカノンのキャラクターも生かされています。
だからカノンは…チートだけど許せる。。ムシウタ的な意味で。
大助に拾われるのも泣けます。

大助&東中央支部のもとで、ビシッとしたイケメンに育っているといいな。
成長期ですもんねっ。
戦闘訓練で鍛えられてるだろうし。
次に環と会う時には、ダメンズ返上&プリンセスとナイトの立場交換!して欲しいので、彼の成長には期待しています。

カノンはムシウタという物語を終結させる上で、きっと大きな役割を果たすんでしょうね。
正直「別にこんな能力出さなくてもよかったんじゃ…」とは思います。
だってチートすぎるもん。今までの苦労はなんだったんだ。
まぁ出ちゃったものは仕方がない。上手い具合に有効活用してほしいですね。
11巻が出る前は、
 詩歌&シャチで浸父を倒す→詩歌の虫を消す→大助が大喰いを倒す、
って流れで原虫を壊滅させればいいんじゃないかと思ってました。
さてさてどうなることやら。

他にも…02に端役で出ていた“みずち”がまさかの再登場(ミミックですが)を果たしてたり。
3.03の時点で“C”が壊れ始めてたことが分かったり。
“一号指定”それから“虫憑きの王?たる資格”についてハルキヨが語ったり。
なかなか面白い巻です。

ストーリーはよく練られていますね。
突っ込みどころ(聖者の行進って何だったんだよ。とか)もありますが。
起・承・転・結がはっきりしていて、これぞ物語作りの基本、という感じがします。
ムシウタシリーズは基本的にヒーローである大助が主軸なので、登場人物も特環関係者が中心です。
例外が04・05、そしてこの09・10ですね。
ようやく詩歌も、自分の活躍できる土台を固めてきたって感じです。
二ィとハルキヨのお話もなかなか。
久しぶりに「そうだハルキヨってこういう奴だった」と思わせてくれます。
彼はbugで出るようになって以来、すっかり軟化しちゃいましちゃたよね。
初期の「よくわからないけど凄いヤツ」なイメージが好きでした。
今のアリス大好きハルキヨも可愛いですけど。笑

戦闘描写は派手です。環と輪っかがチートすぎること以外は面白いです。
しかしそれらがチートすぎて、若干うーんって感じ。。
やっぱり戦闘はバランスが大事ですね。
あとは戦っている人間同士の動機や魅力。
今巻の戦闘はどれも、環とカノンのどーしよーもないウソに周りが巻き込まれただけの、
何の中実もない戦闘です。。
だから、つまらないと感じるのかもしれません。
二ィだけはカッコ良いですね。絶妙なとこで出てくるシャチも。

人物描写は大安定。
泣きどころもまぁまぁ。
環は…正直、私は全く泣けませんでしたが。
ラストのカノンと大喰いのとこは大好きです。
人によって評価が分かれる巻かもしれません。

和む度はまずまず。カノンが可愛いですね。
カノンと二ィの二人旅も楽しそうで好きです。
恋してる度は低目です。
カノンが環を愛してたり、環がカノンを大好きだったりしたら、
10は全く違う話になったんじゃないかな。
まぁ、らぶらぶ成分の薄いムシウタも嫌いじゃないです。

ヒロインの環は…どうでしょう。
彼女が一番好きっていう人にも、一番嫌いっていう人にも、出逢ったことがありません。
他のキャラの話をするついでに話題に上るイメージです。
詩歌より空気かもしれないですね。もちろん悪い意味で。
でも美人だし、そこそこの人気は確保してると思います。
表紙も綺麗ですね。二人描いてあるのは01の初版以来です。
いやはや騙されました。
私はこの表紙でカノン=女と思いこんでしまって、二ィと一緒にびっくりしました(またか)。
いっそカノンは女の子でもよかったよなぁと思います。
ダブルヒロインの物語ということで。
それもそれで全く違う雰囲気になって面白かった気がする。。

最後にもうちょっとだけ、どーしよーもない女・環について語りたいと思います。
あの…ごめんなさい。
今回の琳珂の文が色々トゲトゲしちゃってるのは、個人的に環が好きじゃないからなんです。
嫌いとは言いませんが…他のムシウタヒロイン達に比べて、どうも苦手です。。
見た目のデザインは好きなんだけどな。長髪かわいいし。

あの…。
ウソつきは別に良いと思うんです。カノンはむしろ好きです。
だけど環はいただけない。
彼女は、どこまでも自分のことしか考えてないですからね。

今回の物語は、環がカノンを助けたところから始まります。
何故、彼女は彼を助けたのか?
はじめは「昔自分が助けられたから、その恩返しのため」でした。
それに加えて、「助けることが面白そうだから」という理由もありました。
最終的には、助ける相手であるはずのカノンのことさえどうでもよくなり、
「世界を変えられるウソを思いついたから、どうしてもやってみたくなった」と言いました。
彼女がカノンを好ましく感じ、ある意味尊敬のような気持ちも抱いており、窮地に陥ったところを見て助けてやりたいと思ったのは本当でしょう。
でも一方で彼女はカノンに嫉妬していた。その才能に。心に。
自分より遥かに劣っているのに、遥かに優れている幼馴染のことを、尊敬しながらも妬んでいたのです。
おそらく上記の流れは。
環はそもそも他人に対して関心が薄く、次第にカノンのこともどうでもよくなって、ただ楽しいウソとそれにまつわる出来事にのめり込んでいった―というよりは。
自分より優れているカノンを目の当たりにし続けるうち、それを利用し、彼自身より凄いことを達成してみたくなっていったという方が本当ではないでしょうか。

カノンも環に対して尊敬と嫉妬が入り混じった気持ちを持っています。
しかし彼は、そもそも自分が環より優れているところなんてないと本気で思っている。
そして環の才能に嫉妬しつつも、彼女がそれを使って為そうとしていることを冷静に分析し、それは多くの人を不幸にするから間違っていると言えた。
彼はひとのことを考えられる少年です。

環は、どこからどこまでも自分のことだけです。
ただの好奇心旺盛な、才能豊かな少女ではない。そんなものよりよっぽど性質が悪い。

「ウソなんかでも世界を変えられるのか見たかった」というのには共感しなくもないです。
だけど彼女の「虫憑きを消す力がある」というウソから生まれる世界にシアワセはありません。
だって根幹に据える救いがウソ、救いはどこにもないのだもの。
そこに存在できるのは、ありもしない救いを求めてカノン様を絶対的に信仰する、狂った人間の集団だけです。
カノン様のウソを見破れる人間=まっとうな人間は抹殺される。
おそろしい世界です。

環は何も考えていません。きっと、そういうことには興味がないのです。
ただ、自分を満たすためだけに行動しています。
仲間だったはずのカノンさえも放棄して。

最初は純粋に八重子に打ち勝つため、本気で世界のために勇者になろうとしていた陽子よりも、
ずっとずっと魔王だと思います。

陽子は環境(魔王になるまで止めてくれなかった愛恋とか、彼女を魔王と呼んだ大喰いや浸父や鯱人)によって育てられた部分がありますが、環は自分自身で勝手に育っちゃってる分、同情の余地すらないという。。
こういう性格の子は、どこまでいってもこうなんだろうな。
12巻の戦いに参加してるっぽいですが…、どうせそれも「面白そうだから」なんでしょう。
改心してたら、それはそれで「えー…」ってなります。
まだ救いようのある陽子は既に改心?路線に進んでますし、こっちはこのままでもいいでしょう。
どーしよーもない子ならどーしよーもない子らしく、どこまでもどーしよーもないことをしてて欲しいっていうのが琳珂の考えです。
岩井先生がこの子をどう描くのか。
最終的にどーしよーもなく不幸になるのか、全てのものを踏みつぶして自分だけのシアワセを手に入れて「あっはっはっはー」となるのか、どちらに転ばせるのかを見てみたいです。

どうなるのかなぁ。今後が楽しみですね。



以上でレビューを終わります!!
10:17  |  ムシウタレビュー  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

★Re: タイトルなし

わぉ…。
読んでいたはずなのに、頭から抜け落ちていたようです…(残念すぎる
教えていただいてありがとうございます≧ヮ≦

己の一部かぁ…。
一体どこまで、どのくらい預かれるんでしょうね?
まずは声を失いましたが、同等のものと引き換えられると考えれば、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚の五つ分くらいでしょうか。
腕とか足も使える(麻痺する・自由に動かせなくなるみたいな感じ)なら、両腕・両足で4つありますね。
流石に自分が死んでしまったら能力も無効になりそうなので、命はなさそうです。
となると、全部で10こ、10人分かぁ。
その頃にはカノンが廃人になってしまっていそうですが、こう考えると結構ありますね。

昔、「フルーツバスケット」という漫画の中で扱われていた童話を思い出しました。
森を旅していた気の良い青年が、森の動物達に騙されて、腕や足や目や耳など、自分の身体の一部を少しずつ差し出していくお話です。
最後は彼、頭だけになっちゃって…でも、森のみんなを救えたと信じて喜びながら亡くなるんですよね。

カノンはどんな結末を迎えるのか、気になります。
風 琳珂 |  2012年09月28日(金) 02:17 | URL 【コメント編集】

一応10巻のラスト1ページ前にカノン自身の地の文に
『一人の〝虫〟を預かる代わりに、己の一部を失う』
とるので。
イルカ |  2012年09月28日(金) 01:17 | URL 【コメント編集】

★Re: タイトルなし

ロップイヤー…!
完全に忘れてました!!(^^;

そうですね。あれはたしかにカノンだと私も思います。。
喋らないし。。
不死を無効化すれば、亜梨子も大喰い討伐チームも助かりますね~。。
無効化能力使わないと倒せないというのは、やっぱり残念な気もしますが…。
だって不死は、モチーフのクマムシの特徴を活かしてる“虫”です。
一方のカノンの“虫”はモチーフがさっぱり謎で、ムシウタの良さである「虫の特徴を活かしていた能力」とは言えないのがなんか…残念です。。
まぁ元々かっこう虫も作者の創作ですもんね。。

預かる、かぁ。なるほど!

何にせよ、12巻下が楽しみですね♪
風 琳珂 |  2012年09月26日(水) 17:55 | URL 【コメント編集】

個人的な勝手な推測をここに書いていいものかちょっと悩ましいですが。
恐らくカノンが重要な役割を果たすのは間違いないでしょうと僕も思っています。
あと消すのではなく〝預かる〟だったと思うのですが。一時的に虫を預かって普通の人に戻せるとかそういった能力ではと思ってます。

あと12巻でハルキヨについていってるロップイヤーはカノンなのではと勝手に予測しています。
展開を読むとしたらそのカノンの能力で不死の虫憑きを無力化するのではと思ってるんですが。

まぁ12巻下に期待でヽ( ̄▽ ̄)ノ
イルカ |  2012年09月26日(水) 08:00 | URL 【コメント編集】

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