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2012.09.09 (Sun)

12週間連続企画!ムシウタレビュー 【08.夢時めく刻印】

 国を滅ぼす?
 脅威?
 そんなことは―知ったことじゃない。

「かかってこい、化け物め」


rbs8.jpg


「あたしは……ダイスケに会いに行くんだゼッッ!」



企画最初の記事(01のレビュー)や最新の記事に載せている【注意事項】に目を通してから、お読みください。



ホントはこの絵、逆(右向き)の横顔にしたかったんですよ。
初季と対比させたかったから。
(人気がある。頭に何かを巻いてる・被ってる。イメージカラ―がピンクなどなど)
次に来る09の七那と、04の茶深も対比させたかったから。
(人気がない。ひねくれてる。でも頭が良い。憎まれっ子のようで実は人望があるなど)
でも「momo」のロゴが描きたかったので…こうなりました。

あー、初季と茶深を逆向きに描いとけばよかったぁぁぁorz

…こんな些細なこだわりも実現できないなんて、ほんと未熟者でごめんなさい。

そんな残念な琳珂ですが。
追記にて、【08.夢時めく刻印】のレビューを開始します。

【More・・・】

 
書籍データ   ―それは、最高で最悪のロスト・メモリーズ!

 【初版発行日】2007年3月1日 【ページ数】398p
 【主役】獣{薬屋大助(“かっこう”)、薬屋ダイスケ(“墓守”)}、田央萌々(“マーカー使い”)、
      五十里野きらり、耶麻本ラウ(“しぇら”)
 【準主役】 なし
 【脇役】土師千莉(“火巫女”)、“兜”、“さくら”、“疫神”、“四ツ葉”、五郎丸柊子、
      “びりびり”、“あしまき”、丁屋弐兵衛、塩原鯱人、佐藤陽子、赤瀬川七那、海老名夕、
      菰之村茶深、ル―シィ、白樫初季、薬屋千晴

評価   【総合】★★★★★
  ストーリー:★★★★★ 戦闘描写:★★★★★  人物描写:★★★★★
  泣ける度 :★★★★★ 和む度 :★★★★☆  恋してる度:★★★★★
  ヒロイン :★★★★☆ 表紙  :★★★☆☆

レビュー


08は、二人のダイスケのお話です。
正反対の夢を抱きながら、同じように傷つき、ボロボロになった二人の少年が、
とある二人の少女に救われて復活するのです。

「そうないぜ?一度、死ねるんだからな。その代わり―
 俺の秘密を、お前に持っていってもらうぜ」

ここはもう最高ですよね。


それに加えて、ダイスケと萌々の話が。
ラウと萌々の話が。
きらりの話が。
02~07、そしてbugで登場してきた人物たちの話が。
練り尽くされた巧妙な展開をみせます。
大量の誤字・脱字・表記矛盾も御愛嬌に思えるほど、
見どころが多すぎて語り尽くせません。

08は、ムシウタシリーズの…いえ。
作家・岩井恭平の既刊作中の、最高傑作といえるでしょう。


いつもどおり、時系列の確認からいきます。
まず1.01に「耶麻本ラウがこの学校に赴任してきたのは、ほんの一ヶ月ほど前だ」とあります。
さらに彼女は「ここへ赴任する直前、自称ジャーナリストの少女を抹殺した」と述懐しています。
これにより08の物語開始時期は五月中旬~下旬と推察できます。
0.00の「大助は、紫央市での事件直後から長く(正確な期間は不明)幽閉されていた」
4.00「萌々は高校に入学した頃、虫憑きになった(→その後封印、コアトルヘッドがブームに)」
という記述から考えられる時の流れとも合致するので、ほぼ間違いないでしょう。
ただ、一つだけこの推理と矛盾している部分があります。
4.01の「春が過ぎ、夏の匂いが近づいてきた頃、セピアが“これから虫憑きになる親友を助けてほしい”と依頼をしてきた―」というきらりの述懐です。
でもこれ、前述の本文(4.00など)と明らかに矛盾していますよね。
先生側のミスとみるべきでしょう。
 
物語の終わりがいつかは、はっきりしません。
昨日と同じ今日が来て、また同じような明日が来る。というのがテーマの物語だからでしょうか。
時間の流れ具合がほとんど全く書かれてないので、数えようがないのです。
しかし、(彼らの基礎的な身体能力が高いとはいえ)傷だらけのボロボロだったダイスケ達が完全に回復しているのですから、作中でも一ヶ月近くは経過しているのではないでしょうか。
また09を読むと、1.06に「大助は東中央支部に帰還したばかりで、“マーカー使い”との傷も癒えきっていない」との記述があります。
そしてそれは、まだ詳しい検証はしていませんが、少なくともプライベートビーチで泳げるような季節です。

以上から、08は初夏(五月中旬~下旬頃)から夏(6月下旬~7月上旬頃)のお話といえます。


今巻は章名が独特なので、どこからどこまで主役級にしようか悩みました。
結局、「章名に名前が出ていて、かつその人物の視点で書かれた章がある」人物全員を主役級にしました。
ラウときらりは準主役級でもよかったかなとは思います。

ストーリーは、なんといってもダイスケですよね。
最初っから、それまで全力で最強だった彼の無残な姿に胸を打たれます。
そっか…大助も人間だったのか、と。。
そしてそこから、二人の大助の入れ替わりですよ。
琳珂はもう、全っ然気づかなくて、ラウと一緒にビックリしました(そんなんばっかだなぁ)。
いや、少しは違和感をもってたんですけどね。
萌々が、平凡な容姿のはずのダイスケをやたらカッコいいっていうし。
(恋は盲目ってやつかと思ってしまいました…)
シャチの持ってるホッケースティックに反応しなかったし。
(戌子と長年の付き合いなのに。。でも、弱りきってたからかなぁとか思っちゃって…)
…どれも決定打にはならず、本気で騙されました。
「ちょっ、大助、萌々かわいいけど…詩歌は!?」
…と、全力で焦りながら読んでました。笑。

ラウも良いキャラしてますよね。
ゲニウスの力で命はとりとめたものの、一度は本当に愛恋を殺したキャラがこんな風に描かれるとは。驚きました。
12では再登場を果たしちゃうし。
なんかもうすっかり好きなキャラになってるので、どんな顛末を辿るのか気になるところです。
出来ればこのまま日本に留まって、美術教師になってほしいなぁ。

ラウといえば。
“虫”について、海外からの刺客がどーたらこーたら、って言いだすのも08からですね。
07からの謎な拡大路線の一つです。
08こそ、ラウと墓守のキャラのおかげでムシウタらしくまとまってますが、
今後一体どうなることやら。
個人的には、海外とかそういうお話はいらないので、きっちり日本国内で、ムシウタの世界観をまとめきってエンディングにいってほしいですね。

はい。
戦闘は最高です。面白くて泣けます。
単純に数も多いし、それぞれの“虫”らしさが存分に発揮されています。
良いところで初季や茶深が出てくるなど、幅も広いです。
そしてこの戦い、クライマックスに行けばいくほど盛り上がっていきます。
萌々vsあしまきでの「ダイスケに会いに行かなくちゃ」。
墓守vsラウでの二人が夢を抱いた時の話。
萌々vsラウ。
萌々vs大助。
ほんと、畳みかけてきます。。
全部泣けますが、特に印象深いのが二つ。
まず、ラウの「嘘つきめ…。ちゃんと私の授業を聞いていたんじゃないか…!」ってとこ。
号泣しました。
生徒の成長を喜んでしまった自分に呆れつつも、嬉しそうなラウにやられました。
そしてもう一つは、萌々と大助。
彼らの戦闘は既に、戦うこと=メッセージだと思いました。
「好きな人に、会いに行く」。
そのためだけに戦い抜く。
これぞムシウタって感じのバトルシーンが詰まっています。

人物描写、泣ける度も最高級です。
きらりもいいですよね。。
08単体だと、やっぱり萌々と大助に目がいっちゃうけれども。
bug、09とあわせて読むと、きらりに感情移入し過ぎて涙が止まりません。。。。

和む度も高いです。
萌々が可愛いし、それに付き合うダイスケときらりとラウも可愛いし、
良い感じに和めます。

そして。何よりかにより。
めっちゃくっちゃ恋してます。
ラヴラヴです。
初恋の、ふぉーりんらぶから実りまで、初々しくもオールスターです(意味不明)^^;
正直、他のムシウタキャラは複数のカップリング(たとえば大助は詩歌、利菜、千莉、柊子など、有夏月は言うまでもなく沢山)が考えられますが。
ダイスケと萌々にだけは誰も口をはさめないですね。
おなかいっぱい。ごちそうさまです。。。

萌々は人気があります。私も好きです。魅力的なヒロインですよね。
でも上記の色々があるせいでしょうか。
「萌々が好き」って人よりも、「08が好き」「萌々と墓守が好き」って人が多い気がします。
なんにせよ、人望があるのは良いことですね♪

余談ですが、ムシウタの人気ヒロインは既に亡くなってる率が高いです。
萌々しかり、戌子しかり。摩理や利菜も故人です。
今も生きてて人気あるのって、初季とアンネリーゼくらいなんじゃ…?
うーむむむ。もちろん一概には言えませんが。
命を燃やしつくすくらい全力で駆け抜ける少女達の輝きに、惹かれるのかもしれませんね。

表紙は可もなく不可もなく、って感じでしょうか。
個人的には、萌々のデザインがよく分かるので良い絵だと思います。
この表紙のおかげで、萌々の全身絵を描く時に迷わずにすみますから!(ぇ



最後に、私が08を星五つにした理由を書きます。

今回のレビューの総合評価は、「ムシウタらしさ」を基準にしています。
その一冊の物語としての完成度の高さ、文章の上手さよりも。
私の愛する「ムシウタらしさ」をどれだけ感じさせてくれたかで評価しているのです。

以下は、ダイスケの台詞の抜粋です。

 今や世界が、この国を見ている…俺もお前も、その中の一人に過ぎないんだろう。
 だがそんなことは、もうどうでもいい。今の俺は―
 俺は…薬屋大助だ。
 誰に与えられた訳でもない…俺がそう名乗っていたんだからな。
 自分は―。
 幸福な、死に場所を得た。

もがいて戸惑って抗って、叫びつつ、自分の小さな夢を一生懸命守って。
戦って。
他の人や広い世界から見れば敗北でしかなくても、
小さくても、
自分だけの勝利を掴む。

これぞムシウタキャラだと思います。
そんな皆の物語こそ“ムシウタ”だと私は思います。

そう。
ムシウタに限って言えば、
「“虫”のない世界を作る」とか「虫憑きを救う」とか、
普通の物語でありがちな素晴らしい大層な目的のために戦っちゃ、魅力がないんですよ。

世界とか国とか全部放り投げて自分の夢に満足したダイスケにこそ、
「あたしは……ダイスケに会いに行くんだゼッッ!」
ただそれだけ吠えて戦った萌々にこそ、ムシウタらしさがつまっていると思います。
だから私は08が好きです。
だから星を五つにしました。

願わくばムシウタの最終巻も、星五つであってほしい。

12巻上でのクライマックスの向こうにどんな物語が待っているのか、まだ分かりません。
でも、たとえば―。
大喰いを前にして、詩歌が何か発言するならば。
「私たちは貴女を倒して―“虫”のいない世界を作ります」などのリーダーっぽい台詞ではなく。
「私は貴女を倒して―大助くんとの約束を守ります」と、言って欲しいです。

琳珂は、そういう“ムシウタらしい”展開を望んでいます。
そんな展開を積み重ねて、ムシウタが終わってくれればいいなと思っています。
詳しいことは、また12巻のレビューで書きますね。




長くなってごめんなさいでした。
以上でレビューを終わります。
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