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2012.08.22 (Wed)

折り返しにあたっての呟き

ムシウタレビュー企画も無事、折り返し地点の06を迎えました。
ファンそれぞれのムシウタの楽しみ方があると思います。
そのうちの一つということで、今後もお楽しみいただければ幸いです。

今日は折り返し地点と言うことで、とりとめもないことを書こうと思います。
よかったらお付き合いください。
いつものレビューと同じくネタバレあり&独断と偏見に満ちてます。
ご了承ください。



…長くなってしまったので、追記にしますね。

【More・・・】

 
さて。
ここまで読んで下さった方々は、琳珂の好みが大体分かってきたのでは。笑
総合評価が★★★★★になっているのだけ見てもね。
01、03、06。この並びがもう、琳珂の好みを表してます。。

私はムシウタの、登場人物一人一人に寄り添っていく、
まるで全員が主人公かのような書き方が大好きなんです。
章名が人物名。
その章ごとに違う人物の視点で読める。
ありがちなようで、なかなかありません。
登場人物全員がそれぞれの物語の主人公であることを感じさせてくれます。
その上で一冊ごとに、一つのストーリーの軸を担う主人公がちゃんといて。
それを重ねて行くとシリーズ全体のお話がある。
(その主人公は大助と詩歌だ、と私は理解しています)

何だろうなぁ、この気持ち。
とても素敵なパズルを見ている気分?
そのパズルは出来あがりの全体像だけじゃなく、
ピース一つ一つ、一部一部が最高にキラキラしてるんです。

だから飽きない。
何度でも読み直して、ピースを拾い直して、
ためつすがめつ眺めて、再び組み上げてみたくなる。
「正解じゃない」と知っている組み方もしてみたくなる。
いつでも心を躍らせて遊べる。

…これは“ムシウタ”というより、“岩井先生”の特徴ですね。
最近新たに執筆された作品はまだ読んでいませんが…^^;
消閑もムシウタもこうですから、きっと新しいものもそうなのでしょう。
大好きです。
先生も今後、作家として色々な挑戦をされていくと思います。
でも、この個性は大切にしていただきたいです。
あくまでこの方向性で、大成して下さい。
私はそれをとても楽しみにしています。


誤解を恐れず言えば、私が次に総合評価★★★★★をつけるのは08です。
そのあとはありません。
何故なら09以降は、私の大好きな上述の雰囲気が薄いからです。
全体像は良いのだけれど、ピース(部分)の一つ一つが大きい。
数が少ない。どうも輪郭がぼやけている。
そんな印象があります。

12巻は特にそうです。
本編やbugのキャラが沢山出てきて、あちこち燃える展開で、最高に面白い。
…はずなのに。
どうも、薄く感じます。
OPS1とか2に分けるのはいいんです。照が主人公なのもいいんです。
大助が脱落したのもいいんです。
むしろ06を読み返したばかりの今は、
「大助の長い孤独な戦いがやっと終わって、ずっと彼が一人占めしていた大きな舞台で今、戌子の弟子たちが活躍してる。あぁ、まさに戌子の夢が叶いつつあるんだなぁ」
「シャチが最強の戦士にならなきゃ戌子が浮かばれないんだよね。よし、シャチ。大助のポジションを食って絶大な強さを見せつけてくれ!!」
…みたいな気分です。笑
だから、そういうストーリー的なことじゃなくて、
多分書き方の問題なんです。

たとえば戌子ゾンビには驚愕しました。
まさかムシウタが、本気でそんな風に主役級キャラを使ってくるとは思わなかったから。
でも別に良かったんです。使って来たことは。
それ以上に、その事実が大してインパクトにならない描き方が嫌でした。
彼女が出てきた瞬間はむしろ、期待したんです。
ムシウタなら、こってりじっくり一人一人に寄り添って、
衝撃を受ける→立ち直る、立ち向かう、というシーンを書いてくれるんだろうと。
きっと、何度読み返しても涙がこぼれてくるようなアツいシーンが読めるんだろうと。

それが…サッパリで。
…なにこの薄さ、と感じてしまいました。

もちろん今巻は大きな作戦が動いており、大切な目的があり、戦闘に重きが置かれています。
戌子ゾンビにビビってる場合じゃないというのは分かります。
……でも、「それがどうした」の勢いで人物描写積み重ねてくるのがムシウタじゃないのかと。
こんな光景につい動揺してしまうのがムシウタキャラたちじゃないのかと。
もしも彼らが既に、本当に強くなっているというのなら、
あんな中途半端な動揺の描写はいらなかったんです。
それこそ最強最悪の悪魔“かっこう”のように、全てを噛みしめて、真っ直ぐ敵にぶつかっていってくれればよかったと思います。

視点が照しかなかった、というのも一因ですよね。彼女はあれでいいと思うんです。
でもここは、少なくともシャチ視点が欲しかったです。
だって戌子ゾンビですよ。
09の時、大助視点の章でもあれだけ見せてくれたのに。
戌子ゾンビ出てきてシャチの描写があれだけなんて。

残念でした。
心からもったいないと思ってしまいました。

…仕方ないので脳内補完しますが。
こういうとき、脳内補完のしようもないほど、勝手にキャラの心情を空想する読者の楽しみを完膚なきまでに奪い取るほど徹底的に心情を描写してくださる岩井先生が私は好きなのです←笑

ほんと、うん。
どうせ上下巻にするなら、もっともっとページ数使って下さってもよかったと思う。
上中下巻だってドンとこいですもの。

ハルキヨの方はまだよかったですが…。
それにしても12巻は、なんだか、薄かった。。

このあと、特に下巻は期待しています。




もう一つだけ、“ムシウタとは何か”について書こうと思います。
上述の内容に少し絡むので。
 
岩井先生の文体や、るろお先生のイラストというような直接的要因を除いたうえで、
あくまで“ムシウタ”という作品だけにある“ムシウタらしさ”について考えてみます。
つまり「ムシウタとは何か?」ってことを。

色んな答えがあると思います。
私も一口に「これ!」とは言えません。
言葉にならない思い、考えがたくさんあります。
それらをなんとかまとめて、言葉にできそうなものを敢えて表現するなら。
ムシウタは“強くなりたいもののバイブル”だと思います。


登場人物たちの、彼ら自身の物語のはじまりをイメージしてください。
彼らはただ夢を見たのです。
「こうだったらいいな」「こうなりたいな」と、純粋な心で願ったのです。
そうしたら呪われたのです。
“虫”。
願ったものと全く違う、なのにとても大きな力。
黙って隠していても心を削られていく。けして逃れられない。
その力は他人に干渉し、時には相手を傷つけてしまいます。
また、自分と同じような目にあっている人間は実は沢山いて、
そのせいで既に出来あがっている仕組みがあり、
否応なくそこへ囚われます。
否応なく順応を強いられます。
全てに抗うか。心は屈服しないまでも、形式的に従うか。
いずれにせよ戦うことを強いられるのです。

これは現実世界でも同じだと思います。

あなたには夢がありますか。
大それたものでなくてかまいません。
「シアワセになれる居場所が欲しい」「世界一の芸術家になりたい」
「自分だけでなく、世界中が傷つけばいい」
何でもいいです。
しかしそれを願い、自分の心に抱いてしまった時から、あなたも呪われているのです。

夢のことを考えたり、そのために努力をすることで、心のどこかが救われたりしませんか。
そのおかげで手に入れられた安寧や強さがありませんか。
一方で、夢を叶えるために努力していない自分、夢見るばかりでそれに程遠い毎日を過ごしている自分に気づき、深く絶望してしまう時がありませんか。
いっそ夢を忘れようとしても忘れられず、苦しんだことがありませんか。
自分の夢を守るため、叶えるために頑張るうち、他人を傷つけてしまったことがありませんか。
また、「自分と同じ夢を持っている人は沢山いる」という現実の中で生きていませんか。
そして、たとえば芸術家を目指すなら、美術界や芸能界という既成のシステムができています。
社会の中で芸術家を目指す以上、それを無視することはできません。
全てぶち壊す勢いで自らを貫くのか。
己が理想を貫くため、あえてシステムの中に入って成り上がるのか。
いずれにせよ、戦うことを強いられてはいませんか。

私たちは夢を持った瞬間から呪われているのです。

それは“虫”という化け物の様相を呈していないだけで。
同質の恐ろしさ、おぞましさをもち、私たちを縛っているのです。

夢を見る人は儚いのです。


それでも願いを叶えたければ、儚いままではいけないのです。
自分と、周囲と、自分の夢と戦わなくてはいけないのです。

ムシウタのヒロインは大抵華奢で、可愛いらしい女の子です。
ヒーロー達はちょっぴりダメンズです。
それでも皆頑張っています。
お互いにぶつかりあったり、時に夢を削り合いながらも、戦い抜こうとしています。
本編の01~12、00やbug 1st~8thに至るまで、いやbugの一話一話の全てで。

ムシウタ世界で“絶対の強者”と描かれているのは、たった一人。
そう―最強最悪の悪魔“かっこう”こと、薬屋大助です。
とはいえ彼も完璧ではありません。
bugのように迷ったり、08のように傷ついたりします。
12では自らの力の限界にも直面しました。
それでも彼は、芯のしっかりした強い人間です。
完璧ではないけれど、弱い部分もあるけれど、“強い”。
だから彼は時に恐れられ、嫌われながらも、尊敬と憧れを勝ち得ている。
薬屋大助は、ムシウタ世界に掲げられた“理想”を持っている少年なのです。
ムシウタ世界で全てのキャラが目指している場所にいるのです。

緒方有夏月という最も分かりやすいキャラを例にしましょう。
どうしようもなくダメンズだけど、カッコよくなろうとしている少年の一人です。
02に始まり、09で転機を得て現在に続く彼の物語は、強いメッセージを与えてくれます。
ムシウタキャラたちはそれぞれに“理想”を目指して戦っています。
その十人十色な物語に、私は勇気と感動を貰います。

もうひとつ。シリーズを通して紡がれつつある、大助と詩歌の物語に注目してみます。
ムシウタ世界の“理想”を持つ大助の相手役、ヒロインの詩歌は“弱い”です。
肉体的にも、精神的にも脆い部分があり、
思わず抱きしめたくなるくらい華奢で可愛い女の子です。
ただ、彼女には“強さ”もあります。
どんな時でも敵を見失わない強さ。自らと向き合い続ける強さ。
詩歌もまたムシウタ世界の“理想”を持っているのです。

そう。大助も詩歌も、“理想”を持っていつつも、完璧ではありません。
きっと、だからこそ二人は互いを求めているのです。
二人が再び巡り逢えたとき―、
二つの“理想”は一つになって、より完全な“理想”になるはずです。
それはつまり。
“理想”が“現実”に変わること。
“夢が叶う”ことを意味するのでしょう。

大量の登場人物たちの十人十色な物語は、
大助と詩歌の物語は、
ムシウタは、
「夢を見た時点でどんなに弱く儚くとも、きっと強くなることが出来る」
というメッセージを与えてくれます。

それは即ち、“夢は叶えることができる”ということ。

ムシウタが放つこのメッセージの光に惹かれ、私は今ここにいます。


このライトノベルを手にした私たちも、多くが彼らと同じく青春の一時期にあり、
同様に迷い、弱い自分に苦しんでいます。
一般論みたいに書いてごめんなさい。少なくとも私はそうです。
私には夢があります。
私は強くなりたいです。
いつか夢を叶えたいです。

あなたはどうですか。
自分では気づいておられないかもしれません。
しかし今、画面の前にいらっしゃる、ムシウタが大好きなあなたも、同じではありませんか。

これまで風琳珂として、沢山のムシウタファンの方にお会いしてきました。
自分のサイトのBBSで。他の方のチャットルームで。時には、オフ会で。
そうして皆さまと沢山の時間を過ごさせていただきました。
他愛ない話をしたり。絵を描いたり。一緒にムシウタの二次創作をしたり。
そうして私が思ったことは、
どなたも「強くなろうとしている」方々なんだなぁということでした。
意識して努力されている方、まだ自分では無意識なのか苦しんでおられる方、様々でしたが。
だからこそきっと、皆さまはムシウタがお好きなのだと思いました。

物語全体から放たれるメッセージに希望をもらって。
登場人物に自分を重ねて共感したり、
登場人物から強くなるためのヒントを得たり。

ムシウタは、“強くなりたいもののバイブル”だと思います。


…戌子が人気あるのも、このせいかもしれませんね。笑
彼女に「戦え、戦え、戦え!」と教わったのは、鯱人や“まいまい”などのキャラたちだけでなく、読者の私たちもなのでしょう。
夢を追う一人の人間として、私たちもまたワンコ先生の弟子というわけです。



私がムシウタから貰ったものは計り知れません。
これをどこかに誰かに恩返ししたいなら、
私もまた強くならなければいけないのでしょう。
自分の夢を叶えなければならないのでしょう。
私はムシウタで利菜が一番好きです。
でもできれば自分は、同じ夢でも、詩歌のようになりたいと思います。
とりあえず意地っ張りはダメですね。笑

皆さまも頑張っておられるなら、頑張り切って下さい。

長文失礼いたしました。
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